中古トラクター購入時に知っておきたいクイックヒッチ(オートヒッチ・ワンタッチ)のまとめ

中古トラクターや、畦塗機やドライブハローなどの中古作業機を選ぶ際、
トラクターに作業機が取り付けできるのかを確認する必要があります。

今回は、日本国内で一般的に流通している20~50馬力クラスの トラクターについて、ヒッチの種類をまとめてご紹介します。

なお、国際的な3点リンクの基準では「Category:0 ~ 3」などの分類方法もありますが、 ここでは混乱を避けるため、そのことには触れていません。

ご自分のトラクターや、作業機の取り付け部分が、 どの規格なのかをつきとめるのに、参考になれば嬉しいです。
 

本記事は、当社中古農機具をご検討中のお客様向けに、参考資料として作成されております。
他社様の販売品やネットオークション掲載品などに関してのお問い合わせには
お応えできかねますので、何卒ご了承下さい。

リンク機構は大きく3種類

クイックヒッチの話の前に、トラクター本体側の話で、まずはトラクター後部の油圧部で作業機を支えている「リンク機構」について紹介します。

リンクの規格は、トラクターの馬力の大小により大きく3種類あります。
【1】標準3点リンク(トップリンクが長くて中折れしないタイプ)
松山、小橋、ササキなどのロータリーをお使いの場合はこちらになります。クボタKL,SL用W3P ヤンマーS イセキPD などもこれに当たります。要するにトップリンクが中折れしないものです。
【2】特殊3点リンク(トップリンクが中折れ。三角金具と短いトップリンクからできています)
イセキ、クボタ、ヤンマーなどのメーカー純正ロータリーに限ります。30馬力以下の小さいトラクターで、旋回時にロータリーが畔にぶつからないようにロータリーを高く上げるための機構です。
【3】2点リンク(15馬力未満くらいの小さいトラクター)
これら3種類のうち、クイックヒッチが用意されているのは。
標準3点リンクと特殊3点リンクになります。
2点リンク用のクイックヒッチはありません。

標準3点リンク(標準3P)

標準3Pは、トラクター後部のトップリンクが40~50Cmと長いのが特徴です。松山、小橋、ササキなどのロータリーを お使いの場合はこちらになります            (またヤンマーの30馬力以上、クボタKLのW3P、イセキのPDマストなどもこれになります)

 

特殊3点リンク(特殊3P、特3P)

イセキ、クボタ、ヤンマーなどのメーカー純正ロータリーに限ります、短いトップリンクに3角形のトップリンクブラケットが着く構成になっています。
小型トラクターに一般的です

2点リンク(2P)

20馬力未満の小型トラクタや、旧型機にみられる形です。トップリンクが無く、作業機を左右2点のリンクだけで直接支えます。各メーカーの独自仕様となっているものが多いためクイックヒッチは無く、メーカー指定外の作業機取付けは困難です。このページの一番下で説明します

 

クイックヒッチ・オートヒッチ・ワンタッチヒッチの種類

ここからは、クイックヒッチ(オートヒッチ、ワンタッチヒッチ)についてご紹介します。
クイックヒッチは基本的には下記5種類あります。

・特殊3点リンクに多く採用される「A-1型」「A-2型」「B型」
⇒中型トラクターによくみられます。

・標準3点リンクに多く採用される「S型」「L型」
⇒大型トラクターによく見られます。(またS型にはピンの太さにより2種類あってトラクターメーカーのSと作業機メーカーのSがあります。)

中古トラクターや中古作業機をネットで探していると、「日農工A1クイック、特3P用」などの記載が目にしますが、これは、そのロータリーが取付けできるヒッチの規格が「A1」で、なおかつ、そのA1ヒッチに適合するリンク機構は「特3P(特殊3点リンク)」である、という意味になります。

日農工A-1ヒッチ


・主にイセキ純正ロータリーに採用されています(40馬力以下くらい)
・イセキ
TU197~257、TA207~247、TA267~317、TA337~467
TF、TH、THS、TK、TG、TGS、AT、NT、NTA全型式

・クボタ
GB16~20、160~200 KB16~20など

日農工A-2ヒッチ


・ 主にヤンマー純正ロータリーに採用されています(33馬力以下くらい)
・ヤンマー
AF 33馬力以下、  RS全型式、US261~361、324~334
F190~250、 AC16~21、CT118、122、250,280、EF116~328
※AF330R,AF330JR,CT340は注意が必要(Sかもしれない)
※スプラインクラッチやドッグクラッチが着いている場合もあります

・三菱
MT160~240、161~241、 MTZ、 GS、 GSK

日農工Bヒッチ


・主にクボタ純正ロータリーに採用 (40馬力以下くらい)

 

クボタ GL19~467 全型式、    GT19~30、
KL21~50,210~550全型式、  L27~46、270D~330D
T22,22E、200~240、
KT20~30、 210~300 、   Bb260
(ただし GT19~23,T22,24,T200,220,KT20~24は取り付けできますが作業機の角
度が違うので注意が必要です。パワクロの GT19~23,T22,24,T200,220,KT20~24はこのBヒッチで適合します)

クボタW3PヒッチとはB型と下記のS型の2つを取り付けられるものです。この場合特3Pでなく、標準3Pが採用されています。

日農工Sヒッチ


・主に作業機メーカー(松山、小橋、ササキなど)に採用

またこれと同じ構造で40mmカラーが付いていないもの(28mmの軸)があります。これはトラクターメーカーのSヒッチと言われ クボタKLのW3Pヒッチ、ヤンマーSヒッチなどです 大方の作業機はこの40mmカラーは外せるのでどちらにも使えます

クボタ KL用Wヒッチ、GM49~73 MZ50~75
イセキ TG37~46 TG353~553 TGS37~46 TK37~46 AT37~46
ヤンマー CT45、55、340、420 US32~50 401~501 US535~550
AF30~35、310~400、333~342、645~665
EF330~342、334、338

日農工Lヒッチ(標準3Pリンク用)


・松山、小橋、ササキ など作業機メーカーのロータリー(おおむね50馬力以上)

クイックヒッチでない場合 「3P直装」と言います

このように直接ロータリーが付いている場合はクイックヒッチではありません

L2202,YM2201,TL3200など古い機種

つきそうでつかない旧型ヒッチについて

統一規格ができる前は各社勝手にクイックヒッチを作りました。これらは現在の規格には当てはまらず、取り付けできません。それ専門の物を探す他ありません

旧型 クボタ L1専用

L1-18~32、185~325専用、ロアーリンクだけをバーで結んだもの

旧型 クボタnewL1-5専用<BR> Aフレーム

L1-195~315 奇数馬力専用

旧型 クボタ サターン専用   Aフレーム

X-20,24 GT3,5,8専用

旧型 イセキオプション3角 クイックヒッチ

きゅう設定  希少

旧型 ヤンマーCヒッチ

FX285,305、335,435でロータリー末尾番号が02<BR>
FX26~46

旧型 ヤンマーBヒッチ (白い色のフレーム)

F5、6、7 F(X)16~30 F(X)195~265 F145~175 F180~200 FX215M~265M<BR>
FF205~245

旧型 三菱 スーパーヒッチF2

MT21、22、23、24、25、26<BR>
MTX28

旧型 三菱 スーパーヒッチF3

MT27、30,33

旧型 作業機メーカーヒッチ 松山

作業機メーカー独自のもので互換性はありません。同じメーカーの物にしか取り付けできません

   作業機メーカーヒッチ 小橋

次に、ついでなので小型トラクターに使われている2P装着についてご説明します

これには統一規格は無く、下の表の同グループに属するものでないと取り付けできません

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